Webサイト運営におけるペルソナの重要性とは?実例とやり方を紹介
「Webサイトの運営にペルソナは必要?」
「具体的なペルソナの設定方法を知りたい」
このような疑問をお持ちではないでしょうか?
本記事では、効果的かつ具体的なペルソナの設定方法を知りたい人に向け、ペルソナ設定の重要性とメリット、実際のやり方、そして事例までを紹介します。
- ペルソナを設定するべきか悩んでいる人
- ペルソナ設定の具体的なやり方と注意点を知りたい人
- ペルソナ設定に必要なことや事例を学びたい人
本記事を読むことで、ペルソナの重要性と設定方法について詳しく理解することができます。ペルソナはWebサイトを運営するうえで必要不可欠な要素ですから、以下にて詳しく見ていきましょう。
Webサイトの制作におけるペルソナとは?
ペルソナとは、「自社の商品・サービスを利用する架空のユーザー像」を指しています。Webサイトにおけるペルソナの場合、どういう人が自社のWebサイトに訪れるか、ということになります。
以下にて、ペルソナの細かい意味や、重要性についても更に詳しく見ていきましょう。
ペルソナの重要性
昨今の日本には、非常に多くのモノや情報が溢れていますよね。情報を発信する側は「いかにユーザーの目線に立った情報を発信するか」ということが重要になってきます。
ユーザーの目線に立った情報発信をするためには、まずユーザーを具体的に想定する必要があり、そこで必要になるのが「ペルソナ設定」というわけです。
商品やサービスを知ってほしいユーザーをペルソナとして具体的に設定することで「どのような情報をどういった形で発信するのか」という点を的確に設定できるようになります。
「ペルソナ」と「ターゲット」の違い
ペルソナとターゲットの大きな違いは「具体性」です。
後ほど詳しく紹介しますが、ペルソナは「年齢・性別・収入・子どもの有無」といった細かい項目まで設定していくものであるのに対し、ターゲットは「20代女性・若年層」といった大きめの粒度で設定するケースが多いです。
どちらも自社の商品やサービスを利用するユーザー像という点では一致しているのですが、「設定内容がどれだけ具体的か」という点で大きく異なります。
ペルソナを設定するメリット
ペルソナを設定するメリットは下記のような点にあります。
- プロジェクトにかかるコストや工数を削減できる
- ユーザーの目線に立って分析を行いやすくなる
- 会社内でユーザー像を共有しやすくなる
まず、ペルソナを設定することで、マーケティング戦略の立案や商品開発が行いやすくなるため、プロジェクトにかかるコストや工数の削減につながります。ユーザーの情報が何も無い状態から開発を行うと、多くの時間やコストがかかってしまいます。
また、「ペルソナが求めているのは何か?」という目線を持つことで、自社の商品やサービスに必要なものを効率的かつ具体的に分析することも可能です。
たとえば、ユーザーの「購買行動」「心理状態」などを分析する際に役立ちます。
しかし、ペルソナの設定方法を間違えてしまうと、効果的な分析や商品開発などが難しくなってしまうため注意が必要です。ペルソナの正しい設定方法については次章で詳しく解説していきます。
ペルソナ設定の具体的なやり方
ペルソナの設定は下記の手順に沿っておこないます。
- どういった人がWebサイトに訪問しそうかイメージする
- その人物像について情報収集をおこなう
- 1人に絞り、具体的にどんな人かを細かく設定していく
以下にて、それぞれのステップごとに詳しく解説していきます。
どういった人がWebサイトに訪問しそうかイメージする
まずはじめに「どういった人が自社のWebサイトに訪問しそうか」という点についてイメージしましょう。たとえば、「どんなニーズを持った人なのか」「何を考えながらこのサイトに訪問しているのか」といった点をイメージします。
例えば、
- どのような悩みを持っているユーザーなのか
- どのような疑問を持っているユーザーなのか
- どのような情報を探しているユーザーなのか
といった点を深掘りすることで、Webサイトに訪問しそうな人物像を具体的にイメージすることができます。
最初から正解を見つけることはできないため、ここではできるだけ多くの人物像をイメージしておくとよいでしょう。具体的には、3~5人程度の人物をイメージしておき、以下で紹介する最終ステップで一人の人物に絞っていきます。
その人物像について情報収集をおこなう
人物像をイメージした後は、その人物像についての情報収集を行います。
主な情報収集のやり方は下記の通りです。
- GoogleやSNSでの反応調査
- 運営しているサイトのデータ解析
- 社内で蓄積してきたデータの分析
- ユーザーへのインタビュー・アンケート
- 政府やシンクタンクなどの公式データを分析
上記の「運営しているサイトのデータ解析」とは、自社で運営しているECサイトのアクセス解析などを指します。アクセス解析とは、「ユーザーがどこからアクセスしたか」「どのページでどの商品を購入したか」などといった情報を解析することです。
これらの情報は、Googleアナリティクスなどから取得することが可能です。なお、「Shopify」でECサイトを開設している場合は「Shopify分析機能」を利用することでユーザー行動を細かく分析することができます。
また、「ユーザーへのインタビュー・アンケート」とは、自社の競合にあたるWebサイトを利用したことがあるユーザーに対してヒアリングを行うことです。たとえば、「Webサイト内で課題を解決できたか」「Webサイトを利用して不満に思ったこと」などといった点をヒアリングすることで、設定するべきペルソナが見えてきます。そういったユーザーを見つけることが難しい場合は、①で設定した人物像に近い人を身近で探し、インタビューすることもおすすめです。
次に、運営しているサイトやアンケートなどから収集した情報を一旦整理します。データは多ければ多いほど良いというわけではありませんから、必要な情報のみを残しておくようにしましょう。
情報の整理を終えた後は、1人の人物像(ペルソナ)を設定するために必要な情報を取捨選択し、次のステップに進みます。
1人に絞り、具体的にどんな人かを細かく設定していく
整理した情報をもとに、どんな人物であるかを細かく設定していきます。
次章で紹介するペルソナの項目に加え、名前や顔写真などを設定しておくことで、より人間味を帯びるため「その人物が考えていること」「その人物の心理状態」などがイメージしやすくなります。名前や顔写真は適当に設定するのではなく、できるだけ「本当に実在しそう」と思える素材を使用するようにしましょう。
また、ただ単に年齢や性別といった項目を埋めるのではなく、グラフや図を用いることでペルソナのイメージをより共有しやすくなります。
ペルソナの設定項目
ペルソナの設定項目は厳密に決まっているわけではありませんが、最低でも下記の項目だけは埋めておくようにしましょう。
- 年齢
- 性別
- 年収
- 職業
- 役職
- 趣味
- 家族構成
- 住んでいる地域
- 利用しているSNS
- 情報収集の手段
- 最近の悩み
- 将来やりたいこと
項目を埋める際は、できるだけ具体的に記載することが大切です。たとえば、職業の欄は「会社員」というだけでなく、役職や所属している部署、部下は何人くらいいるか、などといった点まで考えてみましょう。ここが具体的であれば、「部下とのコミュニケーションはうまくいっているのか」など、ペルソナの”悩み”がイメージできることもあります。
また、上記の項目を見て「趣味なんかを設定する意味はあるの?」と思った人もいるかもしれませんが、上述のように人物像に具体性を持たせることで「その人物のインサイト」「その人物が考えていること」などがイメージしやすくなり、情報発信の精度がより高くなるため、趣味や悩み事などの項目も必須であると思っておきましょう。
実際の書き方や事例については、次章で詳しく紹介していきます。
ペルソナ設定の事例
次にペルソナ設定の事例を見ていきましょう。以下は、BtoB企業の参考になるように「顧客管理ツールの導入を考えている人」をペルソナとして設定しています。
年齢 | 29歳 |
性別 | 男性 |
年収 | 750万円 |
職業 | 解析ツールを販売する企業の営業部門に所属 |
役職 | 課長 |
趣味 | ネットフリックス(ほぼ土日のみ)、サッカー(最低でも週に1度) |
家族構成 | 3人家族(妻、娘) |
住んでいる地域 | 埼玉県所沢市 |
利用しているSNS | YouTube、Twitter、Facebook、Instagram(利用頻度が多い順) |
情報収集の手段 | Facebook、Twitter、YouTube(利用頻度が多い順) |
最近の悩み | 通勤を電車から自転車に変えようかと悩み中 |
将来やりたいこと | 家族全員で世界一周 |
上表のように、趣味や家族構成までを詳しく記載します。「なかなかペルソナのイメージができない」という人は、先に顔写真を設定するとよいでしょう。
次に、こういったペルソナ設定する際の「必ず押さえておくべき注意点」について解説していきます。
ペルソナを設定する際の注意点
ペルソナを設定する際の注意点は下記の通りです。
- 正確なデータを集める
- データをもとに設定すること
- 細かく具体的に設定することが重要
ペルソナの設定方法を誤ってしまうと、効果的なマーケティング施策の立案ができなくなってしまうことに加え、施策を作るために費やした時間や費用などを無駄にしてしまう可能性があります。以下にて詳しく解説していきますので、ぜひ押さえておいてください。
正確なデータを集める
まず、データは正確なものを集めるようにしましょう。
正確なデータとは、経済産業省や厚生労働省などが公表しているデータを指しています。口コミ調査の場合は、TwitterやInstagramなどで第三者が実際につぶやいた内容をもとに分析を進めるとよいです。
国や地方自治体が運営するWebサイト以外で公表されているデータを使用してはいけないという訳ではありませんが、そういったWebサイトの情報は「信憑性にかけるデータである可能性がある」という点に留意したうえで利用するようにしましょう。
データをもとに設定すること
ペルソナはイメージだけでなく、データをもとに設定することが大切です。
たとえば、よくある失敗として「自社の理想的な人物像を作ってしまう」というケースがあります。自社の理想的な人物像に設定してしまうと、既存顧客へのアプローチが上手くできたとしても、潜在顧客へのアプローチができないため、売上の大幅な向上にはつながりにくくなってしまいます。
例えば、顧客管理システムを販売している企業が、新規顧客になりうるペルソナ像を設定する際、悩み事の項目に「抱える顧客が増えてきたため管理に困っている」と書くケース。これは企業にとっての理想を反映した結果となりますので、ペルソナの設定としては不適切です。
一人の人物像を仕上げる際は、前述した「インタビュー」「SNSでの調査」などから得たデータをもとに設定することで、企業にとっての理想的なペルソナになってしまうことを防ぐことができます。
細かく具体的に設定することが重要
ペルソナを設定する際、「趣味」「最近の悩み」などといった項目は、できるだけ細かく具体的に設定するようにしましょう。各項目を具体的にしておくことで、人物像をよりイメージしやすくなり、ユーザーの心情や行動パターンに対する対策が立てやすくなります。
また、細かく具体的に設定したからといって、ペルソナをそのまま放置しないように注意しておくことも大切です。時間が経てば社会情勢やトレンドなどによってターゲティングするべきユーザー像は変わりますから、それに合わせてペルソナも定期的に見直すように心がけておきましょう。
まとめ
本記事では、ペルソナの重要性や設定方法について詳しく解説してきました。
ペルソナを設定することで、自社が運営するWebサイトのユーザー像を明確にすることができるため、「マーケティング施策の立案」「チーム内での共有」などが行いやすくなります。
ペルソナの設定を行う際は、どういった人物がWebサイトに訪問しそうなのかをイメージし、そのイメージを具体的にするための調査を実施します。そして収集したデータをもとに、どんな人物なのかを細かく設定していくというのが一般的な流れです。
なお、ペルソナを設定する際は「自社の理想的なユーザーに設定しない」「正確なデータをもとに細かく設定する」という点に十分注意しておくようにしましょう。
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