導線改善はユーザビリティの向上につながる?最適な導線を解説!
ユーザビリティを高めるためには、導線の設計が必要です。適切な導線を設計できればユーザビリティが高まり、コンバージョン数やアクセス数が増える可能性があります。そこで、この記事ではサイトのユーザビリティを高めるための導線について紹介します。
- ユーザビリティにおける導線の必要性がわからない人
- Webサイトのユーザビリティを高めたい人
- 具体的な導線の設計方法が知りたい人
ユーザビリティを高めるために導線は必要?
ユーザビリティを高めるためには導線設計が必要で、主に取り組む理由は3つあります。それぞれの理由を把握して、今一度導線設計の大切さを理解しておきましょう。
- ユーザビリティの向上には導線設計は重要
- ユーザーのことを考えた導線は良いサイトと評価される
- Webサイトは能動的なので導線が良くないとユーザーが離脱してしまう
そもそもユーザビリティは、国際標準化機構の「ISO 9241-11」によって以下の通りに定義されています。
「特定の利用状況において、特定のユーザーによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザーの満足度の度合い」
出典:使いやすさ/利用時品質の考え方
つまり、ただの使い勝手という意味だけでなく、有効さや効率、満足度合いも加味されるということです。導線を設計していないと、上記の項目を満たすことはまず不可能でしょう。そのため、定義を加味したうえで、ユーザビリティの向上に導線設計は欠かせません。
導線設計を考えてあるWebサイトはユーザビリティに優れ、ユーザーも利用しやすいです。ユーザーからの評価が高ければ、おのずとWebサイト自体の評価も高まり、検索順位が向上します。
例えば、導線設計が考えられていて読みやすいコンテンツを配信しているWebサイトと、導線設計が無茶苦茶でユーザー視点が加味されていないサイトの場合、どちらのサイトをユーザーは好むでしょうか?多くの場合は読みやすい前者のWebサイトを選ぶはずです。
訪れるユーザーが増え続ければWebサイトの評価も高まるので、導線を加味したサイトの方が結果的に良質だと判断されます。
Webサイトは能動的な媒体です。受動的にほしい情報が流れてくることは稀で、基本的には能動的に情報を検索する必要があります。例えば、「明日の天気」に関する情報がほしい場合には、「天気+地名」や「天気+明日」などと検索するはずです。
以上のようにWebサイトは自分で情報を検索するのが大前提である一方で、「離脱」という選択肢も自身で選択できます。特にWebサイトは無料で閲覧できるメディアなので、購入しなければ読めない書籍や雑誌などよりも簡単に離脱してしまいがちです。
離脱する要因はさまざまではありますが、導線設計が良くないと、ユーザーが「使いにくい」と判断して離脱する原因につながります。そのため、ユーザーの離脱を防ぐ意味でも、導線設計を加味したWebサイトをデザインしなければいけません。
ユーザビリティ向上のための最適な導線とは
ユーザビリティの高い導線を設計するためには、3つのポイントを考慮してください。それぞれ大切なポイントを紹介するので、ユーザビリティの高いWebサイトをデザインできるようになりましょう。
- ターゲットの目的や知りたい情報に迷いなく辿り着ける
- できるだけシンプルな導線設計
- ユーザーの行動を考えられた導線になっている
ユーザビリティを向上させるためには、ターゲットの目的や知りたい情報にアクセスしやすいように導線を設計してください。そもそもユーザーがWebサイトを訪れる際は何かしらの目的を持っています。そのため、ユーザーが目的としている情報に素早くたどり着けるような導線に設定しないと、離脱してしまう可能性が高いです。
例えば、今日の天気を知りたいと思って「天気 渋谷」などと検索したとします。この際、キーワードをもとにすると「渋谷の今日の天気を知りたい」という顕在化された目的が確認できるはずです。まずは、ユーザーの目的に応えるためには、渋谷の天気情報を掲載することが考えられます。
しかし、顕在化された目的だけに応えていてもユーザビリティの向上は狙えません。実は顕在化された目的以外にも、キーワードから直接見えない潜在的な目的に応える必要があります。例えば、「天気 渋谷」というキーワードからは以下の隠れた目的が考えられます。
- 渋谷の気温を知りたい
- 数日後の渋谷の天気を知りたい
- 傘がいるかどうか知りたい
- 周辺地域の天気を知りたい
以上のようにキーワードから顕在化された目的以外にも、隠れた目的は複数存在します。そのため、ユーザビリティを向上させるには、潜在化しているユーザーの目的に応えるような導線を設計しなければいけません。
ユーザーが迷いなく、知りたい情報にできる限り早くたどり着けることを導線設計の目的としています。そのため、シンプルな導線を設計すれば、ユーザーが目的を達成しやすいです。
何度も右往左往するような導線で構築しているWebサイトもなかにはありますが、デザインを重視しているだけでユーザビリティを満たしているとはいえません。差別化のために複雑な導線を設計しているのかもしれませんが、結果的にユーザビリティを低下させてしまっています。
では、シンプルな導線とはどのようなものなのでしょうか?シンプルな導線を設計するには、いくつか参考になる「型」が存在します。型をもとに導線を設計すれば、シンプルな導線に近づくでしょう。参考になる型は以下の通りです。
F字型 | ・左上を頂点に水平に右側へ視線を誘導し、右側に到達したら再び左側に戻り下のコンテンツに誘導するのを繰り返すレイアウト ・Webコンテンツの王道レイアウト |
Z字型 | ・左上を頂点にZ字のように視線を誘導するレイアウト ・横組の文章に良く使われる |
N字型 | ・右上を頂点にN字で視線を誘導するレイアウト ・書籍などの縦読みのコンテンツに有効 |
以上のような複数の型を使い分けて、できるだけシンプルな導線でユーザビリティの向上を狙いましょう。
ユーザビリティの向上を狙う際は、ユーザーの行動を考えた導線を構築しましょう。ユーザーの行動にあわせた導線を設計することで、目的のコンテンツまで効率よくたどり着けるようになります。コンテンツにたどり着く効率を向上させれば、ユーザビリティの向上も狙えるでしょう。
ユーザーの行動を考えた導線を設計するためには、「動線」をもとにするのが最適です。動線とはいわゆるユーザーの動きを意味していて、サイト内でユーザーがどのように動いているかを表します。動線を知るためにはさまざまなツールがありますが、以下のツールを利用するのが一般的です。
動線の分析に役立つツール | 特徴 |
ヒートマップツール | ・ユーザーの動きをサーモグラフィーのように表すツール ・ユーザーの行動が多い箇所は赤色で表示され、少ない箇所は青色で表示されるのが一般的 ・ページ内でのユーザーの動きを可視化するのに役立つ |
Googleアナリティクス | ・Webサイト内の定量的なデータを集めるのに役立つツール ・Webサイト内の行動フローを確認できる ・ページ全体のユーザーの行動を分析できる |
以上のようなツールを駆使することによって、ユーザーの動線を分析できます。確かな分析をもとに、ユーザビリティの向上を狙った導線を設計しましょう。
導線改善のやり方を知ってユーザビリティの向上を図ろう
導線を改善するためには今から紹介する5つのステップを踏むことが大切です。それぞれ簡単に紹介するので、導線改善の参考にしてください。
- まずはサイトの目的やゴールを明確にする
- 流入ページ・よく閲覧されているページなどを分析する
- ユーザーの行動を分析して最適化をおこなう
- 直帰率・離脱率の高いページを改善する
- 効果検証と改善を継続的におこなう
ユーザビリティの向上を狙うためには、まずWebサイトの目的やゴールを明確にするのが大切です。サイトの目的やゴールが明確に決まっていないと、どのような設計をすれば良いか決まりません。サイトを構築する際は以下の目的やゴールを設定するのが考えられます。
- アクセス数を増やす
- 問い合わせ件数を増やす
- 滞在時間を増やす
以上のように目的やゴールを明確にすれば、対応した導線を考えやすいです。例えば、コンバージョンを狙うのであればCTAボタンの設置位置を改善すれば良いでしょう。アクセス数を増やすのであればページ全体の導線を見直し、ユーザビリティが高い導線を設計すればおのずとアクセス数も増えてきます。
以上のようにまずはサイトの目的やゴールを明確化することが、ユーザビリティの高い導線設計のカギを握ります。
分析ツールを利用すれば、サイト内でよく閲覧されているページや流入経路に役立っているページを把握できます。いずれかの内容に該当するページは検索エンジンからの評価も高く、良質なページである可能性が高いです。良質なページで採用している導線を他のページにも適用すれば、サイト全体のユーザビリティが向上します。
ページの流入数や閲覧数を分析するためには、Googleアナリティクスが役に立ちます。Googleアナリティクスでは各ページの流入数はもちろんのこと、ページの平均滞在時間などサイトに関するさまざまな情報を入手可能です。一般利用であれば無料で利用できるので、分析ツールに迷ったらまずGoogleアナリティクスを利用するのがおすすめです。
導線を改善する際はユーザーの行動を分析する必要があります。特にページ内におけるユーザーの動きを分析すると、導線を最適化しやすいです。しかし、実際にどのようにユーザーの行動を分析すればよいのかわからない人も多いでしょう。いくらWebサイトを眺めてもユーザーの行動を可視化できませんし、自分で操作してもユーザー体験とは異なった感想が出てくるかもしれません。
そこで、客観的に導線を把握するためにヒートマップツールの利用をおすすめします。ヒートマップツールはユーザーの行動を可視化するツールです。ヒートマップツールでは以下のユーザー行動を可視化できます。
- ユーザーのマウスの動き
- クリックされている箇所
- ページにおける特定のスポットの滞在時間
- ユーザーが離脱した箇所
以上のユーザー行動を可視化することで、導線の改善に役立ちます。
直帰率や離脱率の高いページは改善するべきです。Googleでは直帰率や離脱率について以下のように記載されています。
直帰率の意味 | 離脱率の意味 |
特定のページで始まったセッションが、そのページで唯一の閲覧ページだった割合 | すべてのページビューで、特定のページがそのセッションの最後となった割合 |
Googleでは以上のように直帰率と離脱率が定義されているので、いずれかの数値が高いページはユーザビリティが低い可能性があります。そのため、Googleアナリティクスなどのツールを利用して数値を分析し、数値が悪いページは積極的に改善に取り組みましょう。
Webサイトの運営で大切なのは持続的な改善の姿勢を持つことです。例えば、離脱率の高いページに対して、ヒートマップツールを利用して導線を改善したとしましょう。しかし、ユーザーの行動をもとに改善したとはいえ、必ず効果が出るものではありません。むしろ改善箇所が適切ではなく、数値を悪化させてしまう可能性も考えられます。
以上のように導線の改善には正解がないため、いくらユーザー行動をもとにしても結果に結びつかない場合もあります。そこで大切なのが、継続的に効果を検証して改善に取り組む姿勢です。自社のページに有効な施策を常に考え続け、1つの施策がダメでも他の施策に取り組む姿勢を大切にしてください。
導線改善以外でユーザビリティを向上させるための施策
ユーザビリティを向上させるには、導線の改善以外にも有効な施策がいくつか存在します。それぞれ4つの施策をここでは紹介するので、導線の改善以外にユーザビリティを向上させたい際は参考にしてください。
- ファーストビューの改善
- CTAボタンの設置
- コンテンツの改善
- フォーム改善
ファーストビューを改善するとユーザビリティが向上する場合もあります。そもそもファーストビューとは、Webサイトにおいてスクロールしないで最初に表示される部分のことです。ファーストビューで端的にサイトの紹介をするとユーザーが興味を持ち、後のコンテンツを見てくれる可能性が高まります。
ファーストビューでは以下のように設定するのが一般的です。
- ヘッダーによるアイキャッチを設定
- キャッチフレーズの入った画像を設定
- スライド型で画像を設置
以上のようにファーストビューを設置すれば十分にユーザーの心を掴めるはずです。しかし、ファーストビューの内容にある細工を施し、コンテンツ内容をより濃くすることで従来より2倍近くのCVR(コンバージョン率)を獲得した事例も存在します(※1)。それはファーストビューに動画を設置する方法です。
能動的に読み込まなければいけない静的な画像や文字のコンテンツよりも、受動的にさまざまな情報が入ってくる動画の方が受け取る情報量が多いです。そのため、ファーストビューで興味を持ったユーザーは後の製品やサービスに対するイメージがしやすく、コンバージョンにつながりやすくなります。
ファーストビューに関しては下記の記事にて詳しく紹介しておりますので、合わせてご覧ください。
CTAボタンの設置箇所によってはコンバージョンに差が出る可能性があります。そもそも CTAボタンとはユーザーに行動を促すためのボタンのことで、英語で「Call To Action(コールトゥーアクション)」の略称を表し、日本語で「注意喚起」と意味します。CTAボタンに設置するのは以下のコンテンツが一般的です。
- 資料請求
- 会員登録
- 無料相談
- 別コンテンツ
Webサイトでは以上のCTAボタンを設置することで、コンバージョンを狙います。ページの上部や下部、コンテンツの中間に設置するのが一般的です。たしかにコンテンツのあいだにCTAボタンを挟めば、ユーザーがすぐに行動を起こせるのでコンバージョンにつながりやすいでしょう。
しかし、さらに手軽な改善を加えるだけで、より効果的にコンバージョンを狙えるCTAボタンを設置できます。それが固定追従型のCTAボタンを設置する方法です。ページをいくらスクロールしてもCTAボタンが表示されれば、いつでもCTAボタンをクリックできます。
実際に追従型のCTAボタンを設置することで、CVRが約3%近く改善された事例も確認されています(※2)。一手間加えるだけでユーザビリティの向上を狙えるので、サイトに追従型のCTAボタンを導入することも検討してください。
ユーザビリティを向上させるにはコンテンツを改善するのも効果的です。そもそもインターネットの特性上、ユーザーはそれほど文字を読み込みません。そのため、装飾や見出しの機能を利用して効果的にメリットを伝える必要があります。
しかし、いくら装飾機能を利用したからといってコンテンツ自体が改善されるわけではありません。そのため、ユーザビリティを向上させるにはコンテンツ自体の改善も必要です。コンテンツを改善するとなると以下の施策が考えられます。
- 自社が抱えるオリジナルのデータや情報を記載
- 検索クエリにもとづいたリライティング
特に見落としがちですが、ユーザビリティの向上にリライティングは欠かせません。例えば、2020年に書いた記事をリライティングしないと、情報が古くてユーザビリティが満たせていないといえるでしょう。そこで、2022年最新の情報を盛り込んでリライティングすることで、ユーザビリティの向上が狙えます。
もちろん対象となるキーワードを変更するなどの施策も実施しますが、簡単なリライトを実施するだけで検索流入が7倍にもなった事例も確認されています。
近年ではユーザビリティを向上させるために、入力フォームの改善に取り組む企業も数多く存在します。コンバージョンに直接つながる入力フォームは重要視されていて、入力フォームに関する改善施策を「Entry Form Optimization(エントリーフォームオプティマゼーション)」を略して「EFO」と呼ぶことも多いです。
では、なぜ多くの企業がEFOに注目しているのでしょうか?それは、入力フォームで離脱するユーザーが多いからです。Baymard社が発表している統計(※3)によると、ECサイトにおいて69.8%のユーザーが購入せずに離脱しています。さらに、離脱したユーザーの18%が「購入プロセスに不満があり離脱した」と回答しました。
Webサイトに訪れるすべてのユーザーがフォームを原因に離脱しているわけではありませんが、なかには入力フォームを不便だと感じて離脱しているユーザーがいるのも事実です。そのため、EFOツールを利用して入力フォームを最適化することで、ユーザビリティの向上を狙えます。
実際にEFOツールを利用して、CVRを120%改善させた事例も確認されています(※5)。CVRが改善したということは、ユーザビリティも向上したと暗に意味しているでしょう。ユーザーのストレスを最小限に抑えるためにも、EFOを実施してみるのもおすすめです。
ユーザビリティが高い導線を設計するには以下のポイントが大切です。
- ユーザー目線にあわせてできるだけシンプルに構築するべきである
- 効果の検証と改善を繰り返していく姿勢が大切である
- 導線の改善以外にもユーザビリティを改善する手段はある
ユーザビリティの改善は一朝一夕だけでは終わりません。あくまでも継続的に取り組むことで改善が見込めるので、長期的な目線で施策に取り組みましょう。
ユーザー第一に考えられた最適な導線設計
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